ブラックジャック
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ふとまた『ブラックジャック』が読みたくなって、全集を購入した。
中高時代に何度も読み返し、医者への憧憬を育んだ漫画。我々世代の多くの医師がこの漫画を読み、少なからず影響を受けたのではないかと思う。
不可能を可能にしてしまう天才外科医。
しかし、そのストーリーの奥には、多くの人間ドラマと彼の人間性が込められている。ラストシーンには、もの悲し気で愁いを秘めたブラックジャックの後ろ姿が描かれていることが多い。
40年以上も前に書かれたものであるが、今の時代にも通じる人類愛、自然への憧憬、命の尊さ、そして医学の限界などがテーマに挙げられている。とくに、安楽死を生業とするドクターキリコを登場させ、延命治療の是非を問うなど、今の医療が抱えている問題をその時代に提起している手塚の先見性に恐れ入る。
表向きは多額の治療費を請求する、がめつくクールな天才外科医。
いまなお、私の憧れでもある。